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4 昭和56年法律第66号による裁判官弾劾法改正の際の国会会議録

(1)

第94回国会 衆-議院運営委員会国会法改正等に関する小委員会‐1号
昭和56年5月27日


● 山下小委員長
 これより国会法改正等に関する小委員会を開会いたします。
 裁判官弾劾法の一部改正の件についてでありますが、本件につきましては、昨年11月27日に裁判官訴追委員会委員長及び裁判官弾劾裁判所裁判長の連名で議院運営委員長に対し、「裁判官弾劾法の一部改正について」の依頼がございました。
 以来、各党間において御検討を願い、去る4月17日の議院運営委員会理事会において裁判官弾劾裁判所裁判長から説明を聴取いたしました。
 その後、本件について当委員会理事会等において慎重に検討を重ねてまいりました結果、お手元に配付いたしてあります案を得た次第であります。
 その趣旨、内容につきましては、御承知のことと存じますので、その説明につきましては省略させていただきます。
(中略)

● 山下小委員長
 本件について発言の申し出があります。順次これを許します。小沢一郎君。

● 小沢(一)小委員
 本改正案につきましては、さきの安川裁判官事件並びに最近における一連の裁判官の不祥事件の発生にかんがみまして、まことに時宜適切なものと考えております。
 ただこの際、念のため、次の諸点について確認をいたしておきたいと思います。
 まず第1点は、最高裁判所に対してお伺いいたしたいのでございますが、今回の改正案の骨格となったと言われる最高裁判所の案の概要と、その案の作成経緯及び裁判官会議との関係についてでございます。

 第2点は、最高裁判所及び法務省に対しましてお伺いいたします。
 それは、本改正と憲法上の参政権の保障及び裁判官の身分との関係についてであります。

 それから第3点、これも最高裁判所にお伺いいたしますが、公職選挙法第90条の適用除外の方法をとらざるを得なかった理由についてであります。

 なお、これにつきましては、法務省の御見解もお伺いいたしたいと思います。
 4番目に、自治省及び裁判官訴追委員会に対してお伺いいたしたいのは、罷免請求を受けた本人及び選挙管理委員会等関係方面への告知についてであります。

 最後に、自治省に対してお伺いいたしたいと思いますが、誤って立候補届が受理された場合について、その他選挙法上の問題についてでございます。

 以上の諸点につきまして、ただいま申し上げた関係当局から、それぞれ御所見をお述べいただきたいと思います。
 なお、衆議院法制局におきましても、これらの点に関連いたしまして御所見があれば、お述べいただきたいと思います。

● 大西最高裁判所長官代理者
 最高裁判所の人事局長でございます。
 まず、いまの御質問にお答え申し上げます前に、まことに恐縮でございますが、一点あらかじめ申し上げておきたいと思いますが、本日、一応最高裁判所長官代理者ということになっておりますけれども、これから私が申し上げます意見等は、すべて最高裁判所事務当局限りのものでございまして、ただいま第1問で仰せになりました最高裁判所の案というものも、正確には最高裁判所の案ではございませんで、最高裁判所の事務当局限りの案でございます。その点を、まずあらかじめ御了承いただきたいというふうに思います。

 まず、この改正案の骨格となりました最高裁判所事務当局案の概要でございますが、この事務当局案の概要を簡単に申し上げますと、要するに、現在裁判官の訴追請求義務者といいますものは、弾劾法で最高裁判所長官となっておりますけれども、その最高裁判所長官とあるのを最高裁判所というふうに改め、その上で、最高裁判所からその罷免の訴追をすべきことを求められており、または訴追委員会から罷免の訴追をされている裁判官については、公職選挙法90条の規定は適用しない、こういうものでございます。まあ、ただいまお手元にあります案とほぼ同じ案ということになろうかと思います。

 次に、この事務当局案の作成の経緯でございますが、昨年の9月10日、ただいま小沢委員からも仰せになりましたけれども、安川簡裁判事の訴追請求の問題が起きました。昨年の9月10日に最高裁判所長官が安川簡裁判事につきまして訴追請求の手続を行いましたところ、安川簡裁判事が、その後間もなく、これは10月12日でございますが、福岡県の久山町長の選挙に立候補いたしました。そのために、立候補によって公務員は退職したものとみなす、こういう公職選挙法90条の規定によりまして裁判官たる身分を失って、この安川簡裁判事について弾劾手続を進めることが不可能となったわけでございます。

 最高裁判所の事務当局といたしましては、まさに法の網をくぐるこういうやり方、こういう事態に効果的に対処するためにはどういうふうにすればいいかということを、事務当局限りではございますけれども、いろいろ検討をいたしたわけでございます。その結果、先ほど申しましたように、最高裁判所から罷免の訴追をすべきことを求められ、あるいは訴追委員会から罷免の訴追をされている裁判官につきましては、公職選挙法90条の適用を除外されてもやむを得ないのではないか、そういう結論に達したわけでございます。

 この案と裁判官会議との関係についての御質問がございましたが、御承知のとおり、最高裁判所には法案の提出権というものがございません。したがいまして、立法的な手当てをしていただくことについて積極的に意見を申し述べる立場にはないわけでございます。そういうことで、この案は、先ほども申し上げましたけれども、裁判官会議に諮って正式の決議を得る、そういう手続を経たものではございませんで、最高裁判所の事務当局限りで立案したものでございます。ただ、最高裁判所という名を冠して公表しております以上、ある程度の裁判官の感触はお聞きしてあるわけでございます。

 それから次のお尋ねの、この改正と憲法上の参政権の保障、裁判官の身分との関係でございますけれども、この改正案の骨子でございます公職選挙法90条の適用を除外するということは、もうまさに裁判官につきまして被選挙権の行使を制限するという意味を持っているわけでございます。憲法の15条1項に書いてあります公務員の選定、罷免権のうらはらということで、公職の選挙に立候補する自由というものは重要な基本的人権の一つであるというふうに解せられていると思います。そこら辺のところが憲法との関係で問題になるということであろうかと思います。

 確かに、この点は問題ではございますけれども、よく考えてみますと、憲法は、司法権の独立のために裁判官の身分を非常に手厚く保障しておるわけでございまして、この身分保障、身分を確保するために厳格な弾劾の手続が定められております。したがいまして、その反面の不利益として、ただいま申し上げております罷免の訴追をされたりあるいは罷免の訴追をされる可能性の高い裁判官について、合理的な理由がある場合には立候補を制限しても、そういう手厚い身分保障の反面として、そういう手厚い身分保障に乗じた参政権の乱用を防止するという意味において、やむを得ない措置ではないかというふうに考えるわけでございます。

 それから裁判所の関係では、最後のお尋ねの公職選挙法90条の適用除外の方法をとらざるを得なかった理由ということでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、90条の適用除外による方法は、やはり裁判官について立候補の自由を制限するというものでありますために、こういう制限を加えなくて何かほかに方法があるかどうかということを、いろいろずいぶん考えてみたわけでございますけれども、結局この90条の適用除外の方法のほかに適当な案はない、そういう結論になった次第でございます。
 裁判所のお尋ねにつきましては、以上のとおりでございます。

● 千種政府委員
 法務省の司法法制調査部長の千種でございます。
 ただいま御質問がございました第2点及び第3点、要するに、憲法上の参政権と裁判官の身分保障並びに公職選挙法90条の適用排除という方法をとらざるを得なかった理由という点に関しまして申し上げますが、ただいま最高裁判所の方から御説明がございましたことと内容的にはほぼ同じことになるかと存じます。

 ただ私どもといたしましては、この問題が起こりました当初、やはり参政権の憲法上の問題ということにかんがみまして、何か参政権の制限をしないでもいい方法はないかということを検討いたしました。その過程におきまして1つの代案のようなものを考えまして、申し上げたことがございます。

 それと申しますのは、結局、裁判官を辞任するという以上は、裁判官の仕事はしないわけでございますから、その限りにおいて弾劾ということは必要なくなっておるわけでございますが、それ以外にいろいろな付随的効果、たとえば退職金、年金、こういったもの、そのほか法曹資格というようなものが残っておる、これに対する処置をどうするかということが問題になるわけでございまして、それだけがもし問題であるのなら、それだけに対する処置はとれないものかというふうなことから、裁判官は、立候補してその職を失った後に、さらに弾劾手続というものは考えられないかというような折衷案のようなものを考えたことがあるわけでございます。しかしながら、その場合におきましても、その間の身分というものにつきましては説明がなかなか困難である。いずれにいたしましてもすっきりと解決する問題ではございません。

 そこで翻って、参政権または裁判官の身分保障というものを考えてみますと、いろいろな関連から、一定の範囲内で参政権が制限されるような場合があっても、全体として見た場合にそれでいいという場合もあるのではないか。要は、そのいろいろな問題をどのように評価するかという政策的問題に帰着するのではなかろうかと考えるわけでございます。

 その点に関しましては、すでに弾劾裁判所あるいは訴追委員会また当委員会におきましていろいろな御検討を重ねられた結果、1つの案が出ておるわけでございますから、私どもは、その検討の結果につきまして、その御意見を尊重したいと考えております。
 以上でございます。

● 大林政府委員
 自治省の選挙部長でございます。
 私どもの立場は、いわゆる選挙法一般を管理しておるわけでありますけれども、今回のような事件がございました場合に、公職選挙法90条の関係が問題になったわけでありますけれども、一般論としては、戦後、できるだけ立候補の自由という政策的な配慮で今日まで進んでまいりました。そういう関係で、私どもは、立候補の自由というものについて余り消極的に考える立場はとっておらないわけでありますけれども、ただ、裁判官という非常に特殊な立場にある職業につきまして、どうしてもやはり立法政策上やむを得ざる合理的な理由があるのであれば、それもやむを得ないかなというような感じは持っております。

 ただ手続の問題といたしまして、御質問がございました訴追がされております裁判官について、全国あちこちでいろんな選挙が行われておるわけでありますけれども、これはまず手続的には、訴追委員会の方から私どもの方にその旨の御連絡をいただければありがたいと思います、その御連絡をいただきますれば、全都道府県にこれを連絡いたします。全都道府県から全市町村に連絡をいたします。

 ただ、第2の御質問がございましたように、まかり間違って、誤って受理をしたというようなケースも、それはないではないかもわかりません。ほとんど現実にはないと思いますけれども、仮にあった場合におきましても、実際には立候補できないというような方でありますので、投票の効力は当然無効ということになりますし、また、その時点でも、まだわからなかったというようなまことに希有の例を考えてみましても、選挙後には当選争訟というような争訟手続もございますので、そういう場面で解決がされるというふうに考えております。

● 青山裁判官訴追委員会参事
 青山でございます。
 4の点について、まず後段の方から申し上げます。
 初めに、前提といたしまして、新設の41条の2の効果は、同条に法定されている要件に該当したときに当然に発生するという前提をとっているわけでございます。

 そこで、これに付随する事後的な事務の取り扱いといたしまして、同条の事由が生じた場合に、自治省に対してしかるべき所要の通知を遅滞なく発すること、この点について訴追委員会として格別の支障はございません。事務レベルのことで恐縮でございますが、たとえばその通知は、当該裁判官の氏名、年齢、本籍、住所等を特定いたしまして、この者に対して何月何日何時何分、最高裁判所から法何条の訴追を求める書面を受理したから通知するというような内容でございます。

 それからなお、私どもの訴追委員会から今度は弾劾裁判所に対して14条によって訴追状を提出した場合の取り扱い、これについて弾劾裁判所側の取り扱い方もほぼ同様と聞いております。もちろん、弾劾裁判所固有の手続もございましょうが、必要があれば弾劾裁判所の西村局長にお尋ねいただきたいと思います。

 なお、訴追と弾劾との両機関の接点のことについて、念のため申し上げますと、最高裁から訴追委員会に対して罷免の訴追を求めてきた裁判官であって、さらに訴追委員会がその者を弾劾裁判所に訴追する、訴追状を提出するというときは、いずれも法41条の2にかかわりながら事件が訴追機関から弾劾裁判所の機関に移るわけでございますが、新設の41条の2の効果の連続性という点につきましては、同条の新設の趣旨に照らしまして、14条に定める訴追状が弾劾裁判所に受理された時点、そのときを接点といたしまして接続いたしますので、その前後について41条の2の効果の点については何ら間隙はないというふうに考えております。

 それからなお、訴追委員会が最高裁から、たとえば15条3項の請求を受けた、それを自治省に通知したというような場合、その裁判官について訴追委員会で何らかの終局を見た場合についても、またしかるべき所要の通知を自治省に通知すること、これについても支障はございません。

 それから前段でございますが、当該裁判官に対する通知で、その者について新設の41条の2に該当する場合が生じたときは、本人に対してしかるべき所要の通知を発するということについて、訴追委員会として格段支障はございませんし、そのようにするつもりでございます。

 なお、最高裁から訴追委員会に対して請求のあった裁判官について、その後、訴追委員会において何らかの終局を見た場合も、それに準ずることになります。

 いま申し上げましたように、新設の41条の2の効果は、そこに定められた法定の要件に該当したときに当然に発生するという考え方に立っております以上、たとえば本人がその通知の受領拒否というようなこと、あるいは送達不能というようなことがございましても、それは事務レベルの問題として対応すれば足りるわけで、41条の2の法定の効果の発生には何ら関係がない、かように考えております。
 以上でございます。

● 西村裁判官弾劾裁判所参事
 西村でございます。
 ただいまの点につきましては、訴追の局長から申し上げたとおりでございますが、一点補足させていただきますと、弾劾裁判所において終局裁判をいたしましたときには、直ちにその旨を自治大臣に通知いたし、本人に対しましては、法廷で宣告をし、あるいは裁判書の謄本を送付するということに相なるわけでございます。

● 大井法制局長
 議員立法を補佐いたします立場にございます議院法制局としましては、最も意を用いる問題は、その内容におきまして憲法上の論議を含む立法問題に関してでございます。したがいまして、その一点に限りまして所見を申し述べさせていただきます。

 この問題に関する憲法論は、結局は、憲法次元におきまして選挙における立候補の自由と裁判官に対する公の弾劾制度とを対置しまして、そのいずれを優先的に判断するかという価値判断の問題に帰着するのではなかろうかと考えます。

 選挙における立候補の自由は、先ほどもお話がございましたが、憲法15条を裏としまして、重要な基本的人権の一つとして保障されておるところであります。一方、裁判官弾劾制度は、憲法15条第1項に基づきます国民の公務員の罷免権を司法制度において具体化したものである、そこに本旨があるというふうに考えております。

 私ども、立案過程におきましては、この憲法次元における両論を両立させるような方途なしやということで種々検討いたしましたが、これにつきましては、さらに別な諸種の問題をも惹起するおそれがございまするので、終局的には、お手元のような案に決着したわけでございます。私といたしましては、慎重の上にも慎重に判断いたしまして、本案は憲法に違反するものではないという結論に到達した次第でございます。

 それは、1つには、この立法の背景となりました事情にかんがみましても、裁判官の罷免を目的として国民の代表者によって行われる弾劾制度の本旨に照らしますれば、立候補のための退職を特定の場合に限って制約することもまた、まことにやむを得ないものがあろうかと考えられるからでございます。
 御参考までに、一言申し述べさせていただきました。

● 山下小委員長
 広瀬秀吉君。

● 広瀬小委員
 私は、ただいま議題になっておりますこの裁判官弾劾法の一部を改正する法律案に対して、いま各省庁あるいは衆議院の法制局あるいは訴追委員会、弾劾裁判所、それぞれ御意見を伺いました。

 そもそも、この法案が出されるきっかけになりましたのは、安川判事が、皆さん御承知のとおり、あのような破廉恥的な行為を行って、しかも、その裁判官訴追をされておりながら、公選法の90条に逃げ込んで訴追逃れをする、こういうような事案があって、このことが国民大衆から激しい怒りを買った。これは現行法の盲点をついたというようなことで、国会は一体何をやっているのかというような非難も国会に向けられたと思うわけであります。

 そういうような点で、そうはいっても、選挙に立候補する自由、こういうようなものと弾劾というものとの関連で、憲法違反を避けながら、そういうことのないようにという点でいろいろ議論をいたしました。しかも、訴追委員会においても、また弾劾裁判所におきましても、それぞれ会議を数回にわたって開いて、十分その点も検討をいたした。そして先ほど衆議院法制局長が述べられたように、憲法違反に当たらないという、その点での見解を私どもも支持したいと思うわけであります。

 したがって、この裁判官弾劾法の一部改正、そういうことを踏まえて、しかも、国民の期待する裁判に対する信頼を回復するというような積極的な意味も含めて、この種の改正をしておくことは非常に重要なことである、このように考えまして、賛成の意見といたしたい、このように考える次第であります。

● 山下小委員長
 山田太郎君。

● 山田(太)小委員
 議題となっております裁判官弾劾法の一部を改正する法律案については、私は賛成の意見を表明するものでございますが、その表明の前に、一点だけお伺いしておきたいのです。

 弾劾裁判所内等で全面改正を論議されているということは伺っておるわけですが、今回のこの改正との関係、その点についてはいかがかということを、あえてお伺いしておきたい。

● 西村裁判官弾劾裁判所参事
 ただいまのお尋ねの点につきましてお答え申し上げます。
 弾劾裁判所におきましては、去る昭和52年の3月、鬼頭判事補に対する罷免の判決が行われました後、裁判員会議におきまして、裁判官弾劾法規を全面的に再検討して所要の改正を行うべき旨の決議がなされ、これに基づいて、まず事務局において現行法規の見直し作業を開始いたしました。次いで裁判官弾劾法規改正に関する小委員会が設置され、爾来、同小委員会を中心として鋭意検討がなされてまいったのでございます。

 ところが昨年、いわゆる安川輝夫判事の事件が発生いたしまして、憲法に定められている裁判官弾劾制度を形骸化する危険を生じさせるという事態になりましたので、これを緊急を要するものと認め、とりあえず全面改正と切り離して、かかる事態の再発を防止するための裁判官弾劾法の一部改正をお願い申し上げた次第でございます。

 全面改正の検討につきましては、外国の弾劾制度の調査なども進めてまいります必要上、なお長期にわたる見込みでございます。
 以上でございます。

● 山田(太)小委員
 御苦労さまでございました。まず、弾劾裁判所あるいは訴追委員会あるいは法務省、自治省、最高裁判所の事務局並びに衆議院法制局の皆様方の努力は多とすると同時に、敬意を表しておきたいと思います。

 この法案のねらいは、何といいましても具体的に申し上げれば安川判事事件ということが契機となり、同時に、弾劾裁判制度の形骸化ということを防止することがねらいであり目的であるということは、ただいまのお話でもわかるとおりでございますが、そういう意味において、弾劾裁判制度を再確認して、それを守り抜くためのものであるという考えから、私は、この法案には賛成の意見を表明しておきます。以上です。

● 山下小委員長
 西田八郎君。

● 西田小委員
 冒頭に、私は、この法案に対して賛成するということを明らかにしておきたいのですが、問題は、いろいろ討議する中で、まだ罪といいますか、罷免が確定もしてないというのにかかわらず、その人に公職選挙法90条の規定の適用を除外するのはどうか、いわゆる憲法との関係においてそれは非常に無理があるのではないか。憲法上の基本的人権、特に参政権というきわめて重要な規定である。それが、そうしたことによって制限されるということはいかがなものであろうということで、ずいぶんと議論をいたしましたが、ただいま法制局長の御答弁もあり、かつまた、それぞれ専門家の方々がお集まりになって決められたものであるから、特別に憲法で身分保障を受けている裁判官が、しかも法をつかさどる司法にある人が、法の盲点をつくというのは、まさしくひどいというか、あるまじきことである。したがって、それに対する措置というものがなされるというのは当然であろうということで理解をいたしました。

 ただ、問題は、これはそうした事件を抑止する一つの力として機能をするものであって、こういうものが次から次に出てくるというようなことが起こってはならないし、起こらないように、われわれも、また関係者も十分留意しなければならぬことではないかというふうに思うわけであります。

 今日までいろいろと御苦労をいただきました皆さんの御苦労を多といたしまして、賛成の意見を申し述べます。

● 山下小委員長
 この際、小委員外委員から発言の申し出があります。これを許します。東中光雄君。

● 東中委員
 今度の法改正は、結局、安川簡裁判事の訴追逃れと、それから弾劾裁判制度の形骸化に通ずるような異常な事態が起こったのに対して国民の批判が非常に高まった、これは何らかの措置をとらなければいけないということを私たちも考えます。

 同時に、国民の参政権、これは民主主義の一番基本の権利でありますから、それを不当に制限するというふうなことになったら、これは憲法の基本精神に反するということで、どの程度までできるのかということでありますが、弾劾裁判所制度というのは憲法上の制度で、憲法上の国民の基本的な参政権との調和ということでありますから、例外だということで、参政権の制限が拡大されていく可能性が、この場合はないのじゃないかというふうに考えまして、この制度を改正することについて賛成をするという立場に立ったわけであります。以上です。

● 山下小委員長
 次に、田島衞君。

● 田島委員
 この法の一部改正について、その内容で検討を必要とするだろうなと思う点については、先ほど来の質疑応答の中で明らかにされまして、大変理解を深めることができました。

 そこで、このような法の一部改正の措置をとらなければならぬということは大変残念なことだと思いますけれども、現実にその必要を認めるような事実がある以上はやむを得ないことだと理解しなければいけないと思います。

 そこで、民社党さんもおっしゃいましたけれども、今回のこの一部改正が、結果的には必要なかったというような今後の動きになりますように特に御期待を申し上げて、本一部改正案については賛成の立場をとらしていただきます。

● 広瀬小委員
 先ほど私は、裁判官弾劾法の一部を改正する法律案につきましては賛成の意を表明したわけでありますが、これが通ることによって、安川判事事件に見られたような訴追逃れ、弾劾逃れの立候補というような道はふさがれる、裁判官弾劾法の形骸化をある意味で防ぐのに役立つ一面があるという認識に立って、しかも、それが憲法違反でないという確信を持って賛成をしたわけでありますが、今日、安川判事以来と申しますか、最近でも谷合判事補の問題があり、また、現に最高裁で調査中の板垣判事等の問題につきましても、非常に国民のひんしゅくを買うような事例というのが出てまいっておるわけであります。

 この点については、今度の法律が通りましても、たとえば最高裁判所で訴追すべきかどうかを審議をしているというような段階で、こういう公選法90条によって立候補してしまうというような道は防ぐこともできないわけであります。依然としてやはり根本は、この種の問題を発生させない努力――裁判官はそれぞれ憲法において身分保障なりあるいは分限等において非常に優遇されているというか、身分保障が最も強く行われておるわけですが、そういうものも踏まえて、職務権限の独立性というようなものもあるわけでありますが、それに至らないで、私行の面において、あるいは人格陶冶の面において、あるいはその他の研修、いろいろな人事における管理権というのはやはり最高裁で持っておると判断をいたしますので、この種の事件が起こらないような、そういう点での配慮というものをさらにひとつ強くやっていただきたいということを要望として申し上げておきたいと思うわけでございます。

● 大西最高裁判所長官代理者
 ただいま広瀬委員御指摘のように、安川簡裁判事の問題以後、最近も谷合判事補、板垣判事の問題が連続して起きまして、まことに司法の威信を傷つけ、国民の御期待に背いた結果になっておりまして、まことに申しわけないというふうに思っておるわけでございます。

 谷合判事補につきましては、御承知のように最高裁長官から訴追の請求をいたしておりますし、板垣判事の問題につきましては、ここ大分長い期間調査をしておりまして、調査がおくれておることも非常に申しわけなく思っておりますけれども、本当にいま一生懸命に、何とかその事実をまず十分に、徹底的に解明いたしまして、そういたしませんことには、どういう措置をとったらいいかということが判明いたしませんので、何よりも徹底的に詳しく事実を調べるということで、毎日毎日いま努力しておる最中でございます。この点、できるだけ早く事実の解明をいたしまして、足りない点、今後どうすべきかということについての措置を、これもまた早急に十分に考えていきたい、かように思っております。
 まことに申しわけないことで、ここで改めておわびを申し上げる次第でございます。

● 山下小委員長
 それでは、お手元に配付の案を小委員会の案と決定するに御異議ありませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

● 山下小委員長
 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、次回の議院運営委員会において、裁判官弾劾法の一部改正の件についてのこれまでの経過並びに結果を私から御報告いたしますので、御了承願います。
 本日は、これにて散会いたします。